大会宣言

2024年7月25日 カテゴリー:お知らせ

第44回臨時全国大会
大 会 宣 言

文化芸術の役割のひとつに、社会に疑問を呈するという使命がある。そのため音楽家の中には、いずれの組織にも属さず、いかなる指揮命令にも縛られずに自由に表現するため、敢えてフリーランスとして活動している仲間が大勢いる。
また、音楽家は、音楽という労務の対価として演奏料等を得ている。名称の違いにかかわらず、労務の対価である以上それは賃金であり、賃金を得ている以上、私たち音楽家は労働者と同等の社会的保護を受け得る対象とされるべきである。
このような理念に賛同した音楽家が、職能や働き方の別を超え、日本音楽家ユニオンを結成した。

しかし、コロナ禍以降、私たちがめざす理想とは逆の政策が続いている。
昨年十月、本来は賃金として扱われるべき演奏料等に消費税を賦課するインボイス制度が導入された。また本年十一月には、不均衡なパワーバランスを是正する方策のないまま「適正契約」を締結することを求める、いわゆるフリーランス新法が施行される。
これらの施策はいずれも、音楽家の果たす社会的役割や働き方の実態を直視することなく定められた、一九八五年の労働者認定基準の欠陥が根底にあると考える。
この認定基準の是正という大事業のためには、職能労組間の大同団結が不可欠である。

そのために私たちは今期、3・19「ミュージックの日」コンサートにおいて統一コンセプト「音楽で生きる、音楽と生きる」を設け、社会と非会員の音楽家に私たちの活動理念への賛同を訴えた。
社会的地位の向上では、フリーランス新法へのパブリックコメントを提出。更に、他団体と協力し、文化芸術関係者のための社会保障制度の構築に向け運動を継続している。
極端な円安や物価高に苦しむ経済的要求には、昨年度に続き一部で基準演奏料(ミニマム・スケール)の増額を勝ち取ると共に、据置回答の相手には越年交渉を厭わず、粘り強く交渉を継続している。
これらの力の源泉は、職能や働き方の違いを超えた「職能労働組合」から発せられるゆえである。

コロナ禍以降、脆弱な社会保障制度やAI技術の発展により、音楽家の存立基盤が危うくなりつつある。今こそ職能労働組合である音楽ユニオンの旗の下にすべての音楽家が結集し、多くの職能労組と協働することでフリーランスの音楽家の労働者性の確立を図る。

右、宣言する。

二〇二四年七月二十三日
日本音楽家ユニオン第四十四回臨時全国大会

第44回臨時全国大会 大会宣言

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